私のカミングアウトレターズ-番外 父親からの返信


「なにが結婚のきっかけであったか、そうしたものは、その過程で全て吹っ飛び、ただ長く苦難を共有しているという事実そのものがそれだけが、俺たちのつながりを必然のようにしている」





私のカミングアウトレターズ」の最後に、親に手紙を送った話を書いた。


先日、思いがけず、父親から返信が送られてきた。


手紙は、改めて、父親が、「私の父親である」という役割を持ち合わせた、一人の、多くの悩みと歴史を抱えた人間である、ということを感じさせるもので、母親からの「母親としての手紙」とはまた違う強いメッセージを、私に伝えてくれた。



私の両親は、まあ仲が良い方なのだろうとは思うが、父親がかなり難しい人で、私たちが幼い頃はわりと頻繁に、ものすごい喧嘩を繰り広げていた。

その勢いは、あまりにひどい時は、近所の人が思わず玄関からのぞきにくるほどで、私の生家は、父親が怒りのあまり物にブンスカと当たるものだから、家具がぼこぼこになって、穴が空いたりしていた。

弟も私も、怒り狂う父親にぶんなぐられて、家の外へ締め出しをくらったことは一回ではない。

冬は、家の玄関のタイルが素足に冷たくて、足踏みしながら、ぎゃーぎゃーと扉を叩きながら、泣き喚いた。




「離婚しようと思ったことはないの?」

中学か、高校の頃だったか、ふと、母親に聞いたことがあった。
別に深刻なことがなにかあったわけではなく、純粋に疑問に思って聞いた。

「ないわ」

母親の返事は、あまりに明快で、全く迷いがなく、私はむしろ、すごくびっくりした。
それは娘の前だからそう言った、とか、仕方がないと思っているから、というよりも、そうはっきり思っていることが伝わってくる言い方だった。


もう思い出せないほど数多くの喧嘩を思い起こし、母親、すごいなー、と、その時は思ったのだが、今回手紙を読み進めて、そういう気持ちは決して一方通行でかたちづくられるものではないんだ、ということを切に思い知った。



「運命の出会い」なんかがあるわけじゃなくて、一緒に積み上げた時間だけが、その人を「運命の人」にする。



少しロマンチックにいってみるのなら、そういうことなんだろう。



***



母親は今朝、「彼女の名前を聞いてないわ」といいながら、私に焼いたパンをとってくれた。

名前を伝えたら、どう書くのか、と聞いてくれた。

「あおちゃんが、今より実家から遠いところに新しい家が決まったら、私を「実家に月に二回帰らせるから」って言うんだよ」

「それは当り前ね」といって、母親は笑った。


***




父親の手紙はこう締めくくられていた。


「お前たち二人を祝福したい。

俺たち夫婦のような恵まれた状況にはないお前たちは、さらに一層の試練に遭うだろう。

何かうまくいかないときは、自分に原因があるのではないかと熟考してくれ。

かつ、今までどおりに、自信に満ちて力強く生きていってくれ。

もちろん、お前の恋人にできるだけ早く会わせてくれ」





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コメント

感動しました。
とても素敵なご両親ですね!!

思いがけず、
ホロっときてしまいました。

私は父親って存在がよく分からないので、父親系の話を聞いても
今までは心が震えるようなことってなかったんですが、
ヨコさんの記事はストンと入ってきました。
お父さんって、いいですね(*´∇`*)

親というのは偉大ですね。

ふたりぐらしの記事もとても参考になります。
これからも楽しみにしてます!!

素敵な記事をありがとうございました!
  • 2012-06-28 00:32
  • URL
  • さく #k2odzOog
  • Edit

見果てぬ夢

一歩、また一歩と、着実に形にしていってるね。


昔日の自分と重なりあれこれ逡巡して、寝しなだけど少し泣きましたわ。。
  • 2012-06-28 00:37
  • URL
  • 料理人 #-
  • Edit

お父さまの表し方と、お母さまの表し方。
それぞれ思いの伝え方は違っても、娘の選んだ生き方に対する
「受け容れたよ」「応援しているよ」というお二人の意思表示が
温かく胸にしみて、涙があふれました。

この記事にはでてこない弟さんも含めて、
心の通い合う素敵なご家族ですね。

ご両親が、ぶつかり合いながら、理解を深め合いながら
共に築いてきた家庭。
ぶつかり合うこと、理解し合おうとすること、内省すること。
それが、関係を形作るのにいかに大切であるのかを、
改めて考えさせられました。

とても心動かされる記事でした。ありがとうございました☆
  • 2012-06-28 07:52
  • URL
  • ♪ねこ♪ #-
  • Edit

すごく素敵な手紙だなあ、と思いました。
言葉で言い合うのとはちがい、熟考して形に表した手紙を介する言葉は、より想いが伝わってきますね。

ヨコさんの文章が私をはじめ読者の皆さんの心に響くのは、お父さん譲りなのかもしれませんね。

パートナーに会ってみたいって言葉も…。泣けるっす…((T_T))
  • 2012-06-28 13:56
  • URL
  • ゆうか #-
  • Edit

手紙を書いた事はないので、手紙と言うのも本当にいい手だと思い知らされます。
今は家族とはメールかメッセージかスカイプか。
本当に手軽でぽんぽんと伝えられる一方で、どうも言いたい事とはかけ離れがちな気がして。

あおちゃんに会いたいと言ってくれるのはいいですね。
ハチはしょっちゅう関西に来ているんですが
まだ会わせた事がなくて。
何故会わせないのかと言われると自分でも分からず
家族が望んでいないような気遅れがあります。

父親っていいもんですねぇ・・・(イメージの世界でしか知らないので)
  • 2012-06-28 18:43
  • URL
  • 桃 #-
  • Edit

今まで出来なかったのですが、初めてコメントをさせて頂きます。

ヨコさんのカミングアウトレターズを読ませていただいて、

私的にはお父様の「お前はもっと俺たちと遊んでくれなきゃだめだぞ。」と言ったニュアンスの言葉が(違ったらすいません。)、

ヨコさんのご両親、それから家族の絆を物語ってる気がします。

すごくズドンってきました。

ほんとに温かい。

ほんとに素敵な貴重なお話、

聞かせて頂いて、

ありがとうです。

すごく深く、私も考えさせてもらいました。

お二人と、ヨコさんのご家族のこれからも変わらぬ幸せを。
  • 2012-06-29 17:08
  • URL
  • 優 #-
  • Edit

>通りすがりさん

ありがとうございます!
両親には感謝です。
  • 2012-06-30 00:12
  • URL
  • ヨコ #-
  • Edit

>さくさん

おお、ツイッターにもこちらにも、とても嬉しい言葉、ありがとうございます!

私も今回は、本当に偉大だなーと思うことしきりでした。
私はそんな風に出来るだろうか、と思うと、とてもとても。。。

二人暮らしの記事、参考になるように書けるかしら~。
まだ物件も決まっておりませんが、ゆるゆると楽しみながら、物件が見つかるといいなと思ってます。
  • 2012-06-30 00:15
  • URL
  • ヨコ #-
  • Edit

>料理人さん

出来ているかしら。

色々な人に支えられながら、どうにか歩む日々です。
  • 2012-06-30 00:16
  • URL
  • ヨコ #-
  • Edit

>ねこさん

打ち明けた直後に帰った時も、私の相手の事を自然に「彼女」といって言及してくれる親には頭が下がりました。

親が苦労をしながら作り上げ、私や弟を育んでくれた家庭から、私は私の、弟は弟の、それぞれの家庭を持つことを、親は「解散」と表現したことがありましたが、そういう枝別れの仕方を示してくれることに、感謝せねばなと思います。

ぶつかり合いは結構ばいおれんすな感じでもあったので、全面肯定するわけではないんですが、人は試行錯誤の中で生きてゆくのだなと思います。

こちらこそ、読んで頂いてとても丁寧なコメントを頂き、ありがとうございます!
  • 2012-06-30 00:22
  • URL
  • ヨコ #-
  • Edit

>ゆうかさん

あはは、確かに私はどちらかといえば父親似です。
理屈っぽくて頭の方が勝ち気味で、文章を書くのが好きで、時に若干、好戦的です。

恋人に会わせてくれ、といってくれて、ほっとしました。
会ってくれるという彼女にも感謝です。
どこかでいい時間をセッティングできたらなと思います。
  • 2012-06-30 00:25
  • URL
  • ヨコ #-
  • Edit

>桃さん

手紙を書いたのは、私も何年ぶりでしょう。メールはよくやりとりしますが、言葉だけで速度が伴う応酬は大事なことを十分に伝えるのは少し難しいなと思います。

家族の問題は難しいですよね。だからこそ会わせる、会わせないは、無理したり焦ることではない、と思います。
今も会わせたくないわけではないのだと思いますが、戸惑うのなら今は時期ではなくて、気持ちと時間がととのったら、自然に会わせたい、と思うかもしれませんし。

そこは二人でゆっくりまずはお互いといる幸せを落ち着いて確かめ合って時間を積んでいってくださいな!
  • 2012-06-30 00:30
  • URL
  • ヨコ #-
  • Edit

>優さん

初コメントありがとうございます!

ていうか、もしやしてこのお名前…? と思うのですが、いらして頂いて光栄です。

そうですね、父親に「遊んでくれないとだめだ」といってくれたのは、なんだか軽くなるような笑ってしまうような、でも泣けてくるような、大事な言葉でした。

それを読みとって、ドスンとくるなんていっていただけて、とても嬉しいです。

こちらこそありがとうございました!
  • 2012-06-30 00:33
  • URL
  • ヨコ #-
  • Edit

お父さんの言葉に泣きました・・・
「お前たちを祝福したい」
私も、いつか親にそう言ってもらえることを
夢見ています。

こうして、素敵なエピソードを目にしたりすると
自分も・・・と思うのですが、自分も同じようになるとか、
そうは問屋は卸さないですよねー。
でも、勇気をもらえました!!
もう一回トライしてみようかなぁ・・・
  • 2012-06-30 02:41
  • URL
  • みきはうす #-
  • Edit

冒頭の文章はお父様からのお手紙ですか?
何度も読み直しました。
娘にここまで実直に言葉を選んで文字をしたためてくれる父親がいるなんて、わたくしとても感動致しました。

弟さんへのカミングアウトの記事のときもコメントをさせて頂きましたが、
ヨコさんとヨコさんのご家族との信頼関係の強さみたいなものがとてもすごく伝わってきました。

ここまで来るには簡単ではなかったと思います。
本当にお疲れさまでした。
ヨコさんとヨコさんの恋人、そしてご家族みなさんの幸せを大阪の片隅より願って、これからもブログ楽しみにしています。

(お父様は経営者さんとかですか? ふと思いました。)
  • 2012-06-30 08:27
  • URL
  • ぷる #-
  • Edit

>みきはうすさん

言ってもらうのは、私も夢でした。
でも、夢がかなうとは、あまり思っていなかった気がします。

みきはうすさんはとっても幸せオーラが出ている人なので、みきはうすさんが大事と思う人に、幸せそうでよかったね、と、祝福される日はきっと来ると思っています!
  • 2012-06-30 09:44
  • URL
  • ヨコ #-
  • Edit

>ぷるさん

はい、父親からの手紙です。
自分の考えていた、「伴侶との関係」に非常に近似した言葉が綴られていたので、びっくりしたのと、非常に感慨深く感じたので、載せてしまいました。
ちなみに父親は教師です(笑。

近畿地方は実は父親の出身地でもあります。
色々なところから、幸せを祈ってもらえることが嬉しいなあと思います。
私もぷるさんのブログ、とっても楽しみにしています!
  • 2012-06-30 09:47
  • URL
  • ヨコ #-
  • Edit

懐かしい

私も小さい頃、よく家から閉め出されました。
ちょっと懐かしかったです。
うちの親もすごいケンカしてました。
ただうちの親の場合は両親共に「ど」が付くほどの田舎出身なんで
離婚は考えてはいけないものだったみたいです。

父は瞬間湯沸し器みたいな人で
火がつくと手がつけられなくて
大嫌いでしたね。

月日ってすごいですね。それが今は尊敬ですよ(笑)
やはり積み上げた歴史には伊達じゃないものがありますね。
  • 2012-07-01 12:58
  • URL
  • シン侍 #-
  • Edit

>シン侍さん

あー、瞬間湯沸かし器ってすごくわかります。
導火線が短すぎて、みるみるうちに機嫌が悪くなってどんがらがっしゃん。

今いい関係になれているとするのならば、時薬のおかげなのか、その裏に愛情があったからなのか……わからないですが、人間関係に時間がもたらす厚みというのはあるものだと思います。
  • 2012-07-03 22:53
  • URL
  • ヨコ #-
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Author:ヨコ
どたばた働き、美味しいご飯をぱくぱく食べ、5歳上の彼女とのお付き合いはのんびりまったり、一緒に楽しく暮らしております。

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