「困ってるひと」を読んだ

おもしろい。超絶に、おもしろい。



夏、家族で鹿児島に行った時に、弟が持っていた。
鹿児島の家の、焼けて煮しめた茶色になった畳に、転がっていた。
親が弟から借りて読んでいる真っ最中だった。


「読んだか」と彼はきいた。


「知らなーい」と私は答えた。


その不明を恥じる。なんてもったいないことを。




これは、闘病記である。そして、エッセイである。
難民研究をしていたら、自分が壮絶な難病を突然わずらい、医療難民になった、
私より、たった三つ下の女子の、世に稀なるたたかいのお話。


読みながら、しばしば思わず「ぶふふふ」と笑ってしまう。
そのきらきらとする知性とユーモアあふれる言い回しと、
自分を見つめる、ものすごく冷静で分析的な視線に。

そして、いつの間にか「ぐううう」と涙が出る。
その呆然とするような、言語を絶する闘いのきびしさと、
ままならなさに。それでも、全然負けてない、死んでは蘇る
ねばりづよい生命力に。



とにかく「困ってるひと」は、むちゃくちゃすごいのだ。



世の中には、こんな大変な状態でもけなげに頑張ってる人がいるんだから、
健常な私なんて…、と思うような本では、とうていない。


いうなれば、読んだ気分は、オリンピックの観戦。

超人的な身体能力と精神力の祭典で、応援しているスポーツ選手が、
死に物狂いの戦いをくりひろげているのを、唾を飲み、息をとめ、
手に汗を握り締めて、眼を皿にして、みつめるような気持ち。

勝った瞬間に、ものすごい記録をうちたてた瞬間に、
思わずこぶしを突き上げて、すごいすごい! と、
興奮に涙してしまうような気持ち。


「普通の人」の力をはるか越えて、いきぬこうとするそのガッツと
生命力が、もうはるかまぶしくて、まさしく「アメイジング」だ。

勇気が伝わる。
絶望しないで、「だいじょうぶだから!」と笑うような声が聞こえる。



というわけで、この本は、またも同居人が貸してくれたのだが、
(本当にありがとう)
私は、この本は絶対正価で買おうと思います。


だって、そんな難病と、そして社会制度と、血みどろの大格闘をしながら、
原稿とも大格闘して、こんなすっごい本を、文字通りイノチガケで
世に送り出してくれたんだよ。
私が払える敬意は、払わねばなるまい。


というわけで、現在も、都内で絶賛生存中の難病女子、
大野更紗の「困ってるひと」。

困ってるひと/大野 更紗

¥1,470
Amazon.co.jp


まだ読んでいない人は、ぜひ。



書きたいことがいろいろあるのに、本気で全部吹っ飛ばしてくれた。

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