遥かなる太陽の王国 その4

アンダルシアで見たかったものといえば白い壁の続く町並み。

強い地中海の陽射しに照らされる白壁は光り、町全体が発光したようにみえると聞いていた。


グラナダの街中にアルバイシンという地域がある。
モロッコ系住人の街で正直あまり治安がいいとは言えない。


日中でも首を絞められて物を盗られる事故が起きるので、決して家族だけではうろうろと歩かないように。
町の案内所でもそう注意を受けた。

(余談だが、この町には日本の方が個人でやっているかなりユニークな案内所があった。
「ヤク中のモロッコ人が見学できる順路はこちら、ただし安全性は保証しません」なんて案内を受けるのは後にも先にもここでだけだと思う。
案内人のパーソナリティがユニークであったことは言うまでもない)


ただ、この街区を登ったところにある丘からはアルハンブラ宮殿が一望できて素晴らしいときき、ふもとのカフェで腹ごしらえをしたあと、タクシーを捕まえて丘の上までいくことにした。


途中、車の幅+数センチくらいしかない狭い道を、アグレッシブな速さで登っていくタクシーに度肝を抜かれつつ到着。



そこでみた風景のひとつひとつは、この旅で一、二を争う印象的なものだった。



青い空に、白い壁、白いタイル。




眼前に広がるアルハンブラ宮殿。




曲がりくねった石畳の街路。




丘の上の広場では、花咲き、男性がしわがれた声で歌いながら、ギターを掻き鳴らし、ボール遊びに興じる子供たちの石畳にくっきりと落ちた黒い影が踊り。


まるで一枚の絵のように、記憶の中に収まっている。



強烈な陽射しの強さと、日陰の清涼感の差が激しく、本当にヨーロッパは気候が違うね、と親と言い合いながら、3人で写真を撮りあった。



後から撮影したアルバイシンの全景。





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はたらく場でのカムアウト事情

去年の五月に転職したとき、心に決めていたことがあった。



ここではパートナーと住んでいることをオープンにしよう。



そして、叶うことなら、パートナーの性別もオープンにしよう。



***



前の会社では、恋人ができた、と言ったときに根掘り葉掘りつっこまれ、それに対し嘘を重ねることが嫌で、「恋人はいない」で通していた。


男はいないのか? 結婚は? 出産は? そういうことをなんの躊躇いもなく、社長や、役員がからかい混じりに話題を振ってくるような会社だった。

セクハラだ、という指摘など、一笑に付される。
私もあえて目くじらをたてようとも思わなかった。
こんなのは普通の会話の一環だ。



そういう環境の中、会社という場には、「恋人と住んでいる」という事実より、「女性と住んでいる」という事実をオープンにしていた方が、いざという時に、困らない、と判断していた。




けれど、「パートナーがいない」という設定は、日常のそこここの何気ないシーンで、思いの外面倒くささをもたらしていた。


何度も東海を訪れる理由とか。
有給をとって、少し長い旅行にいく相手のこととか。
休みの九割は予定がある状態とか。
予定なく飲みにいくのはなるだけ避ける平日の夜とか。
終電を逃して、泊めてほしい、という同僚の依頼をむりやり断ったこともある。



ただ一言、「東海出身で、同居してるパートナーがいるから」といえば納得される諸々に、それぞれ変な理由をつけなければいけないことに、私は心底、飽き飽きしていた。




パートナーシップとは、真に生活に他ならない。


同時に、会社での人間関係とは、なんと私的な情報開示を伴うものだろう。



***



「ヨコさんは、パートナーはいるの?」



新しい職場で働きはじめて、数日経ったランチで、同じグループの同僚二人にそう問われたとき、私の開示する範囲は決まったようなものだった。



「彼氏はいるの?」と聞かない、そのリテラシー。


それは、彼氏、ではなく、結婚相手、である可能性を含む為だったとしても、その言葉選びは心地よいものだった。


相手はどんな人か、という問いかけに幾つか答えた後、結婚の予定はないのか? という問いに、ないですねえ、と答えた言葉に対する切り返しも、私の気持ちを固めた。



「そうなんだ。それはなにかそういう主義や理念があるから?」



「いや、パートナーが女性なので、今の日本の制度的には結婚が出来ないんですよ」



「あ、そうなんだ! なるほど。
 そういえば、最近、ディズニーで女性同士が結婚式をあげたっていう写真をツイッターで見たな。あれはすごく綺麗だったし、ステキだった」




その、感動的な情報感度たるや!




***



そこから、上司も含め、同じチームでプライベートを交えて話す機会のある人には、そういう話題に触れる度に、それぞれに伝えた。

伝える言葉も、かえってくる言葉も、少しずつ違っていたけれど、私が誰をパートナーとしているかという情報は、ひとつのごくなんでもない情報として、なめらかに浸透した。

そして私が直接話した記憶のない人が、私のパートナーのことを知っている、ということも、ほぼない。



この会社で、ストレスフリーに働けている理由は幾つもある。
その理由の一つは間違いなく、この「誰と住んでいるか」を親しい同僚や上司が知っていることだ。
私はそのことを、ほんとうに嬉しく感じている。



今年の五月、新しい会社で働きはじめて、丸一年が経ちました。



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遥かなる太陽の王国 その3

二日目はマドリッドを早朝から観光。


生ハム専門店にこの上なく盛り上がったり。




馬に乗る女性警察官に惚れ惚れしたり。




王宮の美しさにうっとりしたり。




外国のスーパーは見応えがある。





そしてこの日のハイライトは、ディナーで行った世界最古のレストラン「ボティン」。
かの文豪、ヘミングウェイも通ったというこのお店は、地下室のワインカーヴを客席にしたというフロアがとても雰囲気があって素敵。

ここのガスパチョを、うちの両親は新婚旅行で飲んでいたく感動し、そこから日本でも海外でも色々飲み比べてみたけれど、ついにこの味にはたどりつけなかったんだそうで。





昔からその話を聞きながら、自家製のガスパチョを飲んで育った私にも感慨深いものがありました。


でもこの店の看板メニューは仔豚の丸焼き。




***


三日目は早朝からグラナダへ。


グラナダは、世界史の勉強をした人だと、レコンキスタの言葉と一緒に覚えておられるのではないだろうか。


イスラム文化の華。
気が狂いそうな位精緻な彫刻に彩られたアルハンブラ宮殿の中に立つパラドールに宿泊。



パラドールとは、スペインの国営のホテルチェーンのこと。

公営の宿、などというと、健康保険の保養所等を思い浮かべられる向きもあるだろうが、スペインのパラドールは観光大国スペインが、古城や貴族・領主の館、あるいは由緒ある修道院を一流ホテルとして整備したもの。

大変に美しいのです。



そのパラドールのパティオ(中庭)





そして何故か室内ではスペイン語で喋るドラえもんやのび太が…。





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遥かなる太陽の王国 その2

そして、2013年4月の半ば。
あおちゃんを日本に残し、親とスペインに旅立った。



パリを経由して、15時間のフライトを経て、マドリッドに到着。
エコノミー症候群怖さに何度も席をたちストレッチしたせいか、あまり疲れは感じず。
ただし、時差ボケにやられてやたらと眠かった。


スペインの春は、日が長くて、20時ではまだまだ夕方のような明るさだった。

飛行機でもらった薄いガイドブックに載っていたレストランに入り、海老とマッシュルームのグリルを頼んだら、座布団のようなキノコが出てきて度肝を抜かれたのが、一日目のハイライト。






海外は予想のつかないことが多い。




そして、この日の夜、母親がメインのガイドブックを忘れた、と言いはじめて、途方に暮れる。



え、それ、今回の旅の一番基本と思って、充実させた観光データーべース…。


めっちゃ事前に情報を書き込んできたやつ…。



Wi-Fiとスマホがあっても、やっぱり紙媒体は最強。電池切れないし。

海外旅行でガイドブックがないとかなり困る、というか、軽く詰む、ということを痛感しつつ、滑落睡眠。





そして、二日目の早朝、「ガイドブック見つかったよ!!」の一言で目覚め、心の底から安堵したのを覚えている。


スペインの朝は遅く、5時は真夜中。
8時位でも早朝の雰囲気。





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遙かなる太陽の王国 その1

去年の4月、丸々一ヶ月の春休みを手に入れた。
9年間働き続けてのお休みだったから、最初は少し持て余して、そしてすぐに慣れた。

時を同じくして、母親がちょうど3月に30年以上勤めた職場を退職していた。

よし、念願のスペインに行こう、と両親を誘った。
二つ返事で、行こう! と返ってきた。



スペインは、親にとってはもう何十年も前に、新婚旅行で訪れた忘れがたい国。
そして、私にとっては長らく憧れの国だった。



海沿いに立つ家の白い壁が、太陽に照らされ、輝く村。

古い古い水道橋が深い峡谷の間に聳え立つ天空の町。

奇妙な曲線と色鮮やかなタイルが特徴的な建築物。

生ハムにガーリック、アンチョビにオリーブオイル。

ロルカの詩。情熱的に舞い躍る女性。深くしゃがれ高らかに歌う男性。

旧い異国情緒溢れる宮殿。

強い陽射しに微睡むシエスタ。





最初は一週間弱の予定が、片道15時間以上かけて行くならば、と、どんどん予定を詰め込み、いつのまにかほぼ丸々二週間の旅程になっていた。


マドリッドに降り立ち、アンダルシア地方をぐるりとめぐり、バルセロナへ。
ホテルと国内での移動手段、半日位の現地ツアーを3つだけ押さえて、後は完全にフリープラン。


計画する間、胸は高鳴りっぱなしだった。




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いま、ここにいる訓練

ついつい、「今」じゃない時間に意識を向けてしまう。
「今」じゃない時間のことを語ってしまう。考えてしまう。



一時間後に、明日に、一週間後に、来年に、30年後に。




早く~~したいね。
明日は~~だよ。
夏になったら~~したい。
~~になったら~~しよう……




けれど、その場には今しかなく、今という時間以外の時間が訪れる保証は、どこにもない。



今に集中して、「今ここ」のことを語る習慣が必要だ。どうしても。





おはよう。



美味しいね。



元気そうだね。



空が明るく、美しいね。



そんなことが出来るの、素晴らしいね。



しんどそうだけど、大丈夫?



一緒にいるのは楽しいね。






あなたのことが、大好きだよ。






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プロフィール

ヨコ

Author:ヨコ
どたばた働き、美味しいご飯をぱくぱく食べ、5歳上の彼女とのお付き合いはのんびりまったり、一緒に楽しく暮らしております。

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